配信で使う際は事前に読み仮名を含めて内容を読み込んだ上、
「台本タイトル」「URL」この2点を明記してください。

登場人物
◆店員:ツッコミ
◆客 :マイペースなボケ
◆ツレ:客↑のツレ。こんな奴いたらぶっ飛ばしたい。

【配役】
店員:不問
客 :♂
ツレ:♀

所要時間:15分前後


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店員「いらっしゃいませ!」

客 「やあ。」
ツレ「ちーす!」

店員「はい、いらっしゃいませ」

客 「部屋を探しているんだが。」
店員「さようでございますか。よければ奥に椅子を用意してございますのでお掛けください。」
ツレ「そだね~。こんなとこで立ち話もなんだしぃ」
店員「・・・あれ?」
客 「なにか?」
店員「いえ、なんでもありません。どうぞ。」


店員「では今日はどのようなお部屋をお探しですか?」
客 「人はどんなに自由を求めても、社会という枠組みからは抜け出せない。」
店員「え?」
客 「たとえ世捨て人のような暮らしに身をやつしたとしても、己の生活範囲こそが社会における部屋なのさ。」
店員「はぁ・・・」
ツレ「流石ぁ!」
客 「よせ。こんなところで昂ぶるべきじゃないだろ。」
ツレ「だって痺れるんだも~ん!」
店員「・・・」
ツレ「ね?カッコイイっしょ?」
店員「ええと・・・」
ツレ「クールでポエミーでカッコイイでしょ?」
店員「ええ、はい。」
ツレ「尊い!はぁ~尊い!」
客 「落ち着け。」
店員「それで、お部屋をお探しということでよろしいんですよね?」
客 「ああ、もちろん。俺は時々要件の前に思っていることをついポロっと言ってしまう癖があるみたいでな。」
ツレ「息を吐くように詩を紡ぐとかもう!ホントたまらない!」
店員「・・・ええと、では条件を教えていただけますか?」
客 「そうだな。いま2LDKなんだが、間取りとしてはそのくらいを所望する。」
店員「2LDKですね。」
ツレ「アタシ的には~1DKは譲れないんだけど」
店員「え、おふたりで生活されるんでしたら1DKでは狭いかと・・・」
ツレ「は?ちょっとすれ違ってますけど~」
店員「はい?」
ツレ「1DKっていったら、“コンビニまでダッシュ1分”じゃん」
客 「おいおい。」
店員「(お、いいぞ言ってやれ!)」
客 「コンビニよりドラッグストアの存在の有無を気にするべきだろう。」
店員「(そこじゃねえだろ!)」
ツレ「どしてぇ?」
客 「お前が風邪を引いた時すぐ薬を買いに行けたほうがいいだろう?」
ツレ「もうっ!好きッ!」
店員「あの、お客様。1DKが“コンビニまでダッシュ1分”だとしても、コンビニはKでなくCです。」

ツレ「こういうこと言っちゃう~。なぁんで話の骨折るよなこと言っちゃうかな~」
店員「腰!」
客 「お前、思ったことをすぐ口に出すのはクールじゃないと、いつも言っているだろう。」
店員「(ついさっきお前も思っていることをついポロっと言ってしまうとか言ってなかったかオイィ!)」
ツレ「そうだった!ダーちゃんみたくクールじゃないと!」
店員「ダー、ちゃん?」
ツレ「ダーリンって呼んでたけど、やめろって言われたから」
客 「そんな呼称を使うのはバカップルだけだからな。」
店員「(偏見じゃね?)」
ツレ「でもアタシは譲れなくって~間をとってちゃん付けに落ち着いた」
店員「わかったようなそうでないような」
客 「譲歩したやったのさ。五十歩百歩ってやつだ。」
店員「いや使い方明らかに違います。」

客 「いやウチのツレがすまないね。で、とりあえず2LDKでせめてドラッグストアが近所にあるところを探している。」
店員「ドラッグストアが近いとなると・・・」
客 「あとできれば、携帯ショップとバーも近いとなおのことよしだな。」
店員「えっ?」
ツレ「コンビニもぉ~」
店員「・・・あの、お部屋のこだわりは2LDK以外にありますか?」
ツレ「ダーちゃんと一緒ならどんな部屋でもオッケーィ」
客 「俺の魂が安らぐ空間であればそれ以上は翁草だな。」
店員「はい?」
客 「おっと。ついまた悪い癖が。翁草の花言葉を知っているかな?」
店員「・・・いいえ。」
客 「翁草の花言葉は”何も求めない”。つまり俺は多くを望まない。」
ツレ「濡れるっっ!!」
店員「(立地の時点でそこそこ望んでなかったかオイ!)」
客 「まぁ他にも”清純な恋”なんて花言葉もあるがな。」
ツレ「やだもう!!急に褒めないでぇ~!!」
店員「(清純ってなんだっけ)」
ツレ「あれ?でも何も求めないってことはアタシと一緒じゃん!」
店員「家賃の上限などはありませんか?」
客 「上限を決めるということは、可能性を狭めることになる。俺は細かいことは気にしない。」
店員「さようですか・・・(もう結構狭まってるけどな!)」
ツレ「大丈夫!どんだけ高くてもアタシに任せて!ね、ダーちゃん?」
客 「ふっ。」
店員「(お前ヒモかよ!!)」
ツレ「というわけでシクヨロ~」
店員「では条件に合いそうな物件をいくつかリストアップしてきますので少々お待ちください。」


店員「お待たせしました。伺った条件をすべて満たしそうな物件で一番のオススメがこちらです。」
ツレ「ほぉわー広いぃぃ!!」
客 「これは・・・」
店員「8畳の洋室と和室に12.5畳のリビングダイニングキッチンです。
   バス・トイレ別、ロフト付き、インターネット無料、南向き、オートロックの角部屋です。」
客 「で、近所には?」
店員「コンビニ徒歩1分、ドラッグストア徒歩5分、携帯ショップとバーが10分圏内です。」
ツレ「でも~お高いんでしょう~?」
店員「10万と3000円です。」
ツレ「そこは空気呼んで『ご安心ください』とか言ってほしかった。ノリ悪いってよく言われるでしょ?」
店員「・・・申し訳ありません。」
ツレ「もしくはトーカドーの社長みたいに溜めて溜めてからの申し訳なさそうに言って欲しかったなぁ。」
店員「(なんでダメ出しされてんだよ俺が!)」
客 「素晴らしいじゃないか。だが、ひとつ気になることがある。」
店員「どちらでしょうか?」
客 「間取り図を見る限りでは部屋が多いな。」
ツレ「ほんとだ!」
店員「え?ですが2LDKをお探しなんですよね?」
客 「確かにいまは2LDKだ」
店員「差し支えなければ今のお住まいの間取りを教えていただけますか?」
客 「俺の部屋。ツレの部屋。キッチン。そしてLD。」
店員「2・・・LDK・・・ですね。」
ツレ「玄関開けます~、キッチンあります~左手がダーちゃんの部屋~右手にアタシの部屋~、はい!」
店員「LDは?」
ツレ「アタシの部屋」
店員「はい?」
ツレ「だ~から~、キッチンがあって~ダーちゃんの部屋とアタシの部屋があって~」
店員「LDは?」
ツレ「インマイルーム!」
店員「えっ?えっえっ?」
客 「混乱しているようだね。よし、いいだろう。俺が解説しよう。」
ツレ「不動産屋が2LDKわかんないとかwwwwww草wwwwwwwwwww」
客 「そもそもLDとはなんの略だと思っている?」
店員「それは、リビングダイニングですよ。」
ツレ「あー惜しいww」
店員「惜しいってなんだ?!」
客 「その思い込みが、君自身を追い込んだのさ。」
店員「・・・」
客 「俺たちのLDとは、それ即ち」
ツレ「リビングディライツ!」
店員「はぁ?」
ツレ「アタシが飼ってるインコの名前!」
客 「いわば第三の同居人だな。」
店員「知るかよ・・・」
客 「幽霊の 正体みたり 枯れ尾花」
店員「は?」
客 「思い込みによって本質が見えなくなった、君を表すのにピッタリな言葉さ。」
ツレ「博識ぃ~!」
店員「あぁ、そうですか。じゃあつまり間取りとしては2Kなわけですね。」
客 「まぁ、プラスLDになるがな。」
店員「えー、となると、条件変わりまして、2Kでペット可な物件を探さないとですねー。」
ツレ「ペットじゃなくて家族!」
店員「リストアップし直してきますのでしばしお待ちください!」


店員「お待たせしました。条件に合うお部屋がひとつだけありましたよ。
   8畳、6畳、ダイニングキッチン、ペット可、南向き、バス・トイレ別、
   コンビニ・ドラッグストア・バー・携帯ショップすべて徒歩10分圏内です。」
客 「ほう?で、気になる家賃は?」
店員「8万円です。」
ツレ「うーん、その条件だったらもう少し安いほうがお得感あるかも~。
   だったらさっきのほうがいいかもしんない。」
店員「さようですか」
ツレ「このお部屋って、出たりしないの?」
店員「というのは?」
ツレ「YRI(わい・あーる・あーい)」
店員「ゆー、れい?」
ツレ「そ!もしくは前に誰か死んでるとか」
店員「あってたまるか!!」
客 「曰くつきならば、安くなるんじゃないかと思ってな」
店員「んなもん紹介するか!!」

客 「そうか。ならば俺たちにフィットする部屋はない、ということか。」
店員「合うかどうかは知りませんけどもうひとつだけ紹介できますよ。」
ツレ「お!どんなどんな?」
店員「とりあえず地図を渡しますんでよければ行ってみてください。見学は立会い不要、自由ですから。」
ツレ「ダーちゃん!これ凄い!まさかの家賃無料!!」
客 「なんだと!?場所は?」
ツレ「京都府、中・・・」
客 「よく見ろ。東京都府中市だ。」
ツレ「あ、ほんとだw」
客 「府中か。なんだか懐かしい響きな気がする。」
ツレ「ともかく行ってみよー!見学見学ぅ~」
客 「いろいろすまなかったな。ありがとう。」
店員「あ・・・」
ツレ「ばいちゃ!」
客 「また会おう。」

店員「二度と会いたくねーよ。・・・ってか行っちゃったよ・・・刑務所なんだけど・・・・・ま、いっか。」



                       おしまい